2011年4月6日水曜日

「明日に架ける橋」特別盤 沈黙の音に耳傾けよ



1960年代に活躍した米のデュオ、サイモン&ガーファンクルといえば、日本でも団塊のフォークソング世代の間で大変な人気を博したが、そんな彼らが70年に発売した最後のオリジナル・アルバム「明日に架ける橋」の発売40周年を記念した特別盤(CD2枚組とDVDのセット)が4月20日に発売される。

 しかし、この特別盤でメーンの「明日に-」より強く印象に残ったのが、CD2枚目に収録している69年の全米ツアーでのライブ音源のひとつ「サウンド・オブ・サイレンス(沈黙の音)」だった。

 65年にシングルとして発売され全米1位となった超名曲。米映画「卒業」の挿入曲で知られる、といったうんちくはどうでも良い。この曲の歌詞が持つ深いメッセージ性に大いなる感銘を受けたのだ。
「幻影がそっと忍び込み/私の眠っている間に種を埋め込んだ/私の脳に埋め込まれた幻影はいまも留まる/沈黙の音と共に…」。そして「沈黙はがんのように増殖」し、それを諭す言葉は「雨の滴のように沈黙の井戸に落ちる…」と歌われる。

 ベトナム戦争が激しさを増す頃に書かれたこの曲は、反戦や忍び寄る核の恐怖など様々なイメージを想起させる。「幻影」とは得体の知れない「恐怖」であり「沈黙」とは物言わぬ多数派を指すのだろう。そしてこの曲が訴えるのは“人は見えざる恐怖に屈してはならない”ということだ。日本で放射能の恐怖がささやかれ、人々が極端な行動に出がちな今、46年前のこの曲に耳を傾けたい。

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